診療科による人気の違いは、看護師の間でも同様だ。そのため、人材の偏りが起こっているのは確かである。
産婦人科は人気の高い診療科目として知られており、希望が殺到して競争になることも稀ではない。患者は女性ばかりであり、自分自身の人生にも関わる妊娠や出産、更年期障害などの知識が得られる点に着目している看護師は少なくないはずだ。出産に関わるノウハウを手に入れるのに適している上に、晩年にかけて問題になりやすい乳がんや子宮がん、更年期障害などについての知識も深められるのは、女性にとって大きなメリットだ。
しかも、産婦人科には様々な年齢層の女性が受診に訪れるため、看護師も年齢を問わずに患者に親近感を持って寄り添うことができ、生涯をかけて働くのに適している点も診療科目として人気がある理由なのだ。
とはいえ、若くして産婦人科勤務を選んだ人は、仕事にやりがいを感じていても結婚したいという気持ちに駆られることが多いようだ。毎日のようにして生みの喜びの場面に遭遇し、喜びの声を上げている家族の様子を見ると、自分も子供を生みたいと考えるようになるそうだ。
看護師として働く道の中で、唯一結婚について直接的に魅力を感じるようになる診療科目が産婦人科であり、もともと生命の誕生に興味を持っている人が集まりやすいことから、結婚への願望が高まるのだろう。このようなパターンは他の診療科目にはあまりないことである。